印刷物ができるまで(ディレクション編)

企画段階

まず印刷発行者から「どのような印刷物を発行するか」という企画会議が設けられます。
そこで印刷物の骨子(使用場面、対象読者、体裁、ページ数、発行部数など)が決められます。
例えば、
「家電製品を店頭で顧客に説明する為の個別商品カタログ」
「新社会人の男女が主な対象」
「プロセスカラー(CMYK)」
「中綴じ8ページ」
「部数1万部」
他に
「対象年齢を明確にする為にモデルの写真を使いたい」
「巻末に商品のスペックの一覧を掲載したい」
など表現に関するアイデアや要望なども、このときに上がって来る事もあります。

印刷物ができるまで(ディレクション編)

準備段階

ディレクターは印刷発行者からの依頼を受けて仕事をします。
ここでヒアリングした事を元に必要な制作体制を整えます。
出力、印刷、加工系スタッフの必要な選定基準は、
「求める印刷物の仕様や印刷品質、想定する制作工程などに対応できる事」
制作系スタッフの主要な選定基準は
「印刷物作成に必要な表現力、専門知識などを持っている事」などです。
ここでワークフローを決定します。
例えば
「各業務を誰が担当するか」
「各業務のスケジュールをどう設定するか」
「受け渡しのルールはどのようにするか」
などを決定するわけです。

印刷物ができるまで(ディレクション編)

サムネール・ラフスケッチの作成2

ディレクターは印刷物発行者からヒアリングした内容をふまえ以下のようなことに気をつけてラフを作成します。
「どの程度の情報密度が適当か」
「ビジュアルと文章の比率はどうするべきか」
「フォントや色使い等により、どのような印象を与えるべきか」

印刷物ができるまで(ディレクション編)

サムネール・ラフスケッチの作成3

レイアウトに配置すべき要素を整理します。
書かなければならない事、見せなくてはならないものをすべて洗い出すだけでなく、
「どの要素と,どの要素を関連づけてみせるべきか」
「強く伝えるべき要素は何か、あまり重要でない要素はなにか」
など各要素の関連性や重要性についても考察します。
これで出来上がったサムネール・ラフスケッチは原稿作成者へ依頼すべき項目が漏れなく示されたリストでもあり,レイアウトデザイナーに表現方法を伝達する為のツールでもあります。

印刷物ができるまで(ディレクション編)

素材データ作成

必要があればの場合ですが、レイアウトで扱うのに適した状態にデータを編集します。
たとえば画像データの色調を調えたり、テキストデータに含まれる不適切な文字を入力し直したり・・・などの作業です。
※アナログ原稿データ化作業は、サービスビューローをはじめとする外部スタッフに依頼する事が一般的です。
※データの編集作業に一部は、レイアウトデザイナーに依頼する事もあります。
この後はいよいよレイアウト全体の制作依頼へと進みます。
※一部もしくはすべてのデータが揃う前にレイアウト作成を先行させる「先割り」という進行方法もありますが、ここでは詳しく触れません。

印刷物ができるまで(ディレクション編)

原稿作成

ラフスケッチ上に表現した各構成要素の作成を依頼します。
(コピーライターに文章原稿,カメラマンに写真原稿,イラストレーターにズ版原稿作成を依頼するなど)依頼時にはラフスケッチを提示し,各原稿が漏れなく,意図通りの表現に仕上がるよう丁寧に指示します。
また、原稿の作成方法や納品時の形態などについても指示を与えます。
原稿の納品後,アナログ原稿については、パソコンで扱えるデータに加工する必要があります。
たとえばフィルムで納品された写真原稿であれば、スキャナという機器により画像データ化します。
また、手で書かれた原稿はオペレーターに入力を依頼し、テキストデータ化しておきます。

印刷物ができるまで(ディレクション編)

レイアウト 確認

作成過程あるいは完成時点でのレイアウトの確認は、通常、PostScriptプリンタ出力により行います。
「仕様通りのレイアウトに仕上がっているか」
「印刷や加工、製版フィルム出力に関する条件がクリアされているか」
「ラフスケッチの意図通りにレイアウトになっているか」
「文章部分に誤字・脱字や表記ルール違反,組版ルール違反がないか」
「可読性が確保されているか」
「各画像が適切に見えるか」
など細かく確認します。
この段階で確認漏れがあり,後段階で修正を加える事になると、時間的にもコスト的にも多くの無駄が発生する事になりますので、慎重に、くまなく確認する事が重要です。

印刷物ができるまで(ディレクション編)

レイアウト 作成

レイアウトの作成依頼では、レイアウトデザイナーにラフスケッチを渡してディレクターの意図を明確に伝えます。
後に「こんなレイアウトに仕上がる筈ではなかった」と言う事がないようにこの時点で表現イメージや各構成要素の扱い方(バランスなど)について十分に擦り合わせをしておく事が重要です。さらに、表記ルール(縦組み文章中の欧文表記など)や組版のルール(行末の句読点の処理方法など)色使いのルール(コーポレートカラーの扱いなど)より詳細な表現方法について確認する事も必要です。
また、レイアウトに関する条件の徹底です.印刷や加工に関連する物理的な条件(塗り足し幅や背幅など)製版フィルム出力に関連するデータ的な条件(仕様フォントやファイル形式)の両方について、仕様確認書などを提示して、間違えなく確実に伝えます。
これらをすべて伝えた上で必要なデータを渡す事でようやくレイアウトデザイナーはレイアウトの作成に取りかかれるのです。

印刷物ができるまで(ディレクション編)

製版フィルムの出力・確認

レイアウトデータ完成後、製版フィルム(印刷機にかける刷版を作成する為に用いられるフィルム)の出力を依頼します。
この時に必要になるのは、一般に
・データ(レイアウトデータ、素材データ、欧文フォントデータ)
・PostScriptプリンタによる出力見本
・出力依頼書
です。
出力依頼書には、データ作成に使用したアプリケーションの種類や使用したフォントの種類、出力する製版フィルムの体裁(ポジ/ネガ、印刷線数など)必要事項を正確に記入しておきます。

印刷物ができるまで(ディレクション編)

印刷・加工

最終的な確認を終えた制版フィルムと,印刷・加工を依頼します。
印刷・加工の依頼時点で、ディレクターは印刷部数などの必要な指示を最終的に与えます。
また、仕様などについても十分に確認を行います。
以上の依頼を終えると、後は印刷、加工依頼先の作業になります。
ディレクターが途中段階で印刷品質などについて確認を行うケースも皆無ではありませんが、通常は印刷、加工依頼先に作業を全面的にまかせることになります。
印刷会社や依頼先への信用もあるのであまりこの過程には口出ししないのがマナーかも。
(依頼通りでなかった場合は別ですが)

印刷物ができるまで(ディレクション編)

完成

これでディレクターの全作業が完了した訳ではありません。
印刷物が完成すると印刷見本が納品されます。この最終的な品質確認も制作工程をまかされたディレクターの重要な仕事です。
確認内容は、大きく分けて
「納品物の校正確認」(必要な印刷物が漏れなく納品されているか)
「印刷品質の確認」
「加工・製本品質の確認」
となります。
万が一何らかの問題が見つかった場合、ディレクターは印刷物発行者と、印刷・加工先の間に立ち、その後の対応について調整します。
そして、問題がなかった場合、晴れてディレクターの役割が完了したと言う事になります。